OMAKE


豆知識
  • 秋桜女学園は中等部・高等部に分かれています。中等部は校舎の1~2F、高等部は3~4Fを使っています。体育館と講堂は1Fにあり、中等部と高等部が共同で使用しています。
  • 校長先生は便宜上「校長先生」ですが、実際は「高等部部長」です。中等部にも「校長先生」=「中等部部長」がいます。
  • カゲヤマ先生は当初あおいとあかりから「ハゲヤマ」と呼ばれている設定だったのですが、なんかかわいそうなのでやめました。
  • 本当にちょっとしたことですが、各キャラの彫像はギリシャ神話の神をイメージしています。あくまでイメージなので、服装などは古代ギリシャ仕様に描いてません。(ほぼ裸になっちゃうから) 長いのでここには書きませんが、キャラの来歴やそれぞれの持ち物などから、どの神のイメージか推量してみると楽しいかもしれませんね。ちなみにギリシャ神話の神は彫像のモチーフとして採用しただけで、本編のストーリーがギリシャ神話からインスパイアされている訳ではありません。
  • メインのキャラクターたちの苗字は作者の好きな作家から拝借しています。
  • 構想を始めた当初はPARANOIACの続編にする予定だったため、PARANOIAC主人公の美紀っぽい存在が一部出ています。「あかり」という名前の女の子が主人公だった以外、続編にする予定だった頃の内容との共通点はないのですが。
  • 秋桜女学園は実は附属大学があります。が、バカ田大学なので内部進学者は毎年ほとんどいません。一応内部進学が前提の学校なんですけどね。 文化部の3年生引退が11月と遅いことには、生徒から苦情も出ています。しかし学校側の言い分は「内部進学が前提であり、定期試験さえ頑張っていれば進学には問題がない。受験のために引退を早める必要はない」なんですね。ただ外部進学者が多いのは事実なので、3年生は受験優先し参加率が低くてもよしとする文化部が多いです。オケ部は定期演奏会もあり難しいですが。運動部の3年生は夏に重要な大会が終わるのでそのまま引退します。だから運動部・文化部では引退時期が違うんですね。 実際ゲーム内で各部活を調べると、文化部には3年生がいるのに運動部にはいないことが分かります。


言い訳
 PEDESTALに関する作者の言い訳です。考察ではないし、個々のキャラクターを掘り下げることもしていませんのであしからず。
なぜ作ったのか
 PEDESTALは、一度作ってみたいと思っていた内容のゲームです。端的に言えば、問題が解決する・真相を明らかにすることがハッピーエンドに繋がらず、なおかつ全ての謎がきれいに明かされる訳ではないものです。つまり、クリア後にモニターを叩き割りたくなる感じのゲームですね笑
 なぜPEDESTALのようなゲームを作ろうと思ったのかについてですが、これにはきっかけがあります。大分前のある日――確かTCMを製作していた頃だと思いますが、フリーゲーム作者様たちのおしゃべり(スカイプ通話)に混ぜてもらったことがあったんです。そこで色々とゲーム製作の話をしていたんですが、ある話題が私の琴線にふれました。それは「大体のゲームは問題解決=ハッピーエンドだが、それでいいのだろうか?」「問題を解決しさえすれば、全てが好転するのか?」「現実的に考えれば、1つの事件が収束したからといって全てがハッピーにはならないのでは?」です。どう結論づけられたか覚えていませんが、なぜかこの話はすごく私の心に残りました。実は、このことを念頭に置いた脱出ゲームの製作をこっそり試みたこともあるんです。技量不足で断念してしまいましたが……内容はまだ頭に残っていますし、結構気に入っているのでいつか機会ができたら再チャレンジしたいところですね。
 そして、この話題こそがPEDESTAL製作のきっかけでした。問題の解決(=謎を解き明かす)がハッピーエンドに直結せず、むしろその逆で、全てを明らかにしようとすると自分(=主人公)にとって不都合な真実が露呈されてしまう。そんな内容のゲームを作ってみるのも面白いんじゃないだろうかと考えたのです。大げさに表現するなら、所謂普通のハッピーエンドに対するアンチテーゼといったところでしょうか。もちろんゲームと現実は違いますので、製作側がこういう考え方をするのがいいことだとは思いません。ゲームにおけるハッピーエンドは、プレイヤーの労力が報われるために必要なものですから。全てが明らかになってすっきり終われるハッピーエンドを用意しないのは、プレイヤーへ喧嘩を売るようなもんですからね。
 プレイヤーや主人公が精いっぱいの行動をしてもいい結末へ辿り着けないのはゲームとしてどうなの…? と迷うことは正直ありましたし、今でもそう思います。でも、前述のとおり「一度作ってみたかった」んですよ、私は。そもそも私が作ってるのはフリーゲームで、営利のために万人に歓迎されるゲームを無理に作る必要はないんです。極論を言ってしまえば、自分の好きに作れりゃそれでいい訳です。PEDESTALはそういう作者のエゴが満載のゲームなんです。プレイヤーから「何だこのゲームは!!」と怒られたとしたら、私は「お怒りごもっともです」と返しつつ、裏では「うっせーなー」と鼻クソほじってるでしょうね。
 まあでも、そういう内容であることは分かりきっていたので、公開時のコメントやゲーム冒頭の注意文ではがっつり予防線を張らせてもらいました。落とし穴がある方面へ行く人には警告してあげるのが人情、また落とし穴の製作者としての義務だからです。警告を聞いた上で先へ進むなら、もう私にはどうしようもないので(ゲス顔)
 そんな感じで、PEDESTALは製作側が持つ神の視点を利用してプレイヤーをビンタするような作品……映画で例えるなら「ダウト あるカトリック学校で」「ファニーゲーム」のようなものなんです。プレイヤーへの嫌がらせみたいな内容は、意図して作られたものだったとご理解頂ければ嬉しいですね。批判は承知の上ですが、作者自身はそういう後味の悪い作品が全然嫌いではありませんので、今回PEDESTALを作れたことは後悔しておりません。むしろ、とてもいい経験になったと思っています。
どんなゲーム?
 PEDESTALの製作は、とても楽しい!という感じではありませんでした。と言うのも、登場人物たちが個人主義に傾倒しているからです。個人主義というか、大人になるに向けて一人で生きていけるようになろうともがいている段階で、「自己」と「他者」にどう優劣をつけるか苦しんでいる感じですかね。自分はやりたいことをやる代わりに、他人の自由も許す。その代わり自分を理解してもらおうとは思わず、他者への理解も放棄している。そんなスタンスをとる人物が多いです。だから、友だちを大事にし、人と人の関わりを意識するタイプのあおいが痛い目を見てしまう訳です。そのため作中にはどこか冷えた空気が漂っており、今まで作ってきた作品とはその点が異なると個人的には思います。今までの作品は、現状を脱する or 問題を解決し真相を明らかにすることで良い結末に向かえたし、主人公や登場人物たちは他者との関係を大事にして行動していました。この作品は逆です。それぞれが個人プレイに徹しているし、真相を明らかにすることで(あおいの)現状が激変し、最悪の結末を迎えてしまいます。そんな胸糞の悪さから、プレイヤーの好き嫌いが分かれると思うのです。はっきり言って、この作品を好きになる人は物好きだと思います。バッドエンドやストーリー展開上必要な不幸要素でも耐えられない方、最近は多いみたいですしね。
 この「個人主義」という点に関して、意図的にそう作った理由があります。エンディングの方向性が決まっている以上、登場人物たちの関係性を無駄に濃くしてプレイヤーに情を沸かせるのは逆に悪趣味じゃないかと思ったからです。その分、しおりの関係者たちがしおりとの思い出・関係性を語っても、プレイヤーとしては「ふーん」と何の感慨もなく済ませられる形になってしまいました。そこは失敗だったかなー、でもなー、と作者的にはもやもやしている部分でもあります。
 ところで、PEDESTALにおいてプレイヤーがモニタを叩き割りたくなる1つの理由に、エンド3まで到達した場合のあおいの処遇が挙げられると思います。しかし、一応あおいに対する救済策はいくつかあるんですよ。
 1つ目はエンド1。あおいは真相には近づけませんが、失うものはなく幸せなままでいられます。
 2つ目はエンド2。あおいは真相に辿り着くものの、現状を守るために見ないフリをすることを選択します。とは言え、あかりがいなくなる結末は変わらないので、エンド1・2でも結局あおいは悲しい思いをすることになってしまいますね……。まあ、離れ離れになってもあかりと友だちのままでいられる点ではエンド3よりマシでしょう。
 3つ目はさくらという存在です。彼女はエンド3で親友を失って1人ぼっちになってしまったあおいの傷を癒す存在になりえます。ちなみに、Statueのさくらの像はパナケイアという癒しの女神をモチーフにしていたり。
 4つ目は時代設定。2013年に設定したのは、当時17歳だったあおいが現在(2021年)は社会人として働いているだろう年齢になるからです。言うなればこの作品は、大人になったあおいが高校時代にあった辛い体験を振り返る回想録なのです。ゲーム開始直後・最後のモノローグがそれを示しています。
 このゲームの最後がやるせないのは、回想録という形をとったことが何よりの原因だと思いますねー。物語の全てはすでに決定されていて、いくら積極的に行動したとしても結末を動かすことができず(ゲームなのでエンド内容に多少の差はつけてますが)、後から眺めることしかできないからです。あおいも「親友が死んだという事実以外に得られたものなどない」と結論づけてましたしね。
 キャラクターに思い入れができない、問題解決のための行動が徒労に終わる――つくづくこの作品はプレイヤーに対する悪意で満ちていますね笑 でもこれでいいんです。私はいくら称賛されようと、感動的な物語だけを生み出したい訳ではないのです。たまにはこういう、作者だからこそできるイタズラ(そんなかわいいモンじゃないけど)をしてみたかったんです。変な話、私は今作でプレイヤーの方々にとても甘えた姿勢をとらせて頂いた感じですね。PEDESTALを最後までプレイした方は、ぜひありのままの感想を作者までぶつけてください。作者はとても喜びます。
キャラクターについて
 PEDESTALのキャラクターに関しては深掘りするつもりはありません。言っておいた方がよさそうなことだけ、軽く書かせて頂きます。
 以前私は、The Boogie Manのキースや人魚沼の清太郎について、味方だとすごく頼りになるが敵になると最悪だと話したことがありました。PEDESTALのあかりも同タイプの人間で、かつ今作はそういう存在が悪役だったという最悪パターンを実現しています。本来味方である存在が実は敵だった、というケースは、自作品においては初めてですね。あかりというキャラクターの造形は、私にとって非常に楽しいものでした。分かりやすく例えるなら、あかりは人魚沼の土田おじいちゃんをさらに悪化させたような人間ですね。彼女が何を考えていたのか、何をしたかったのかについては、やはり語るつもりはありません。これもどこかで話したことがありますが、私は悪役の経歴や動機について語ることが嫌いなのです……。
 ところで、この作品で最もすっきりしない点は、しおりの抱えていた秘密が結局明かされないことですよね。もちろんここでその秘密を語ったりはしませんが、なぜ明かさないのかを少し説明します。あおいも言っていますが、別にそれほど大した秘密じゃないんですよ。ただ、彼女には隠す必要があり、あおいやすみかずはそのことをよく知っているから、彼女が死後である現在も大っぴらに話すことはしません。この辺は死者に対する彼らの優しさですね。プレイヤーからしてみれば非常にもやもやするでしょうが、そういったキャラクターの心情を汲んで頂き、何とか想像で補って頂ければ嬉しいと作者は考えています。ただ明言していないだけで、推測できるだけのヒントは出してありますので。
 とまあ、物語内部だけで説明するならそういった感じなんですが、製作者にとっては別の理由があります。しおりの秘密を明らかにしてしまうと、作品が語られる時にその点だけがフォーカスされてしまう可能性がとても大きいんです。ゲームのカテゴリ自体が限定されてしまう危険性すらあります。また、そのことに対する作者の姿勢・考え方が誤解されてしまうかも知れないのも嫌なんです。私はリベラルだともパターナルだとも断言はしたくないし、ゲーム内でそういった主張をする気もありませんので。この点に関してはとにかく、作者が自分の立場を守るためにそうせざるをえなかったのだとご理解頂きたいです。何を言っているのかチンプンカンプンだったら申し訳ございません;; まとめると、しおりの秘密に関してはプレイヤー各位の想像で補ってほしい! ということですね。
製作期間
 この作品の製作にはめちゃくちゃ時間がかかってしまいました。探索ゲーム以外を作るのが初めてで慎重になっていたこともありますが、何よりも問題だったのは体調不良です。待ってくれていた方々には本当に申し訳ないですね……。
 さらに言えば、PEDESTALは私にとってダントツで作りづらい内容でした。思春期の子たちを取り巻くストーリーで、登場人物のそれぞれがすごく細かいことでぐじぐじ悩んでいます。未成年たちがどう思い悩むのかを考えるのが本当に難しく、辛かったんです。今まで作ってきたゲームには20歳以上のキャラが多かったですし、私は痛みに鈍感な大人なので、登場人物たちになりきって心情や思考を表現するのが難しいったらありゃしませんでした……。
 そんな訳で、かなり長い期間この作品と付き合ってきました。いつも割とサクサク作るタイプなので、こんなに時間をかかってしまったことが悔やまれますし、何より辛かったです。なんとか無事リリースできて本当によかったですね……。
最後に
 長々と書きましたが、私はこの作品が嫌いでは全くありません!むしろ、望まれないであろう作品を最後まで作りきった自分を褒めてあげたいくらいです。人にオススメできる内容ではないと思いますが、それは好き嫌いに関係ないですしね。この作品を好きになってくれた物好きさんがいるなら、一緒にぐちぐち言いながらお酒を飲みたいです笑
 今後私は、PEDESTALのようなゲームを作ることはないでしょう。この作品は嫌いではないけど、さすがに作者のエゴが強すぎます。プレイヤーの期待や嗜好に合わせて製作するつもりは微塵もありませんが、ゲームを他人に向けて公開し遊んでもらう立場である以上、エゴばかり突き通していてはいけませんよね。自分のやりたいことと、人の心を打てる何かを、うまいこと擦り合わせてゲームを作っていきたいですね。
 ではでは、ここまで読んで下さってありがとうございました!今後の製作に関しては作者の体調の問題があるのでどうなるか分かりませんが、できる限り続けられたらなと考えています。また会う日まで!



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