OMAKE
声優さんとキャラの話をメインに書いています。いつもの通りだらだらした長文ですので、お暇がある方向きです。
また、ネタバレを多く含んでいますので未プレイの方にはオススメしません。


声優さんの起用について
 TBMでは沢山の声優さんにご協力を頂きました。なぜ声優を起用しようと思い立ったかと言うと、TBMはできるだけ映画っぽくしたかったからです。当初、トレイラーはTSMに予告ムービーとして入れていましたしね。映画っぽくというか、B級映画っぽくなんですが(笑)
 しかし、私は英語が絶望的にできません。全文英語の脚本なんて用意できる訳もなければ、そもそもまともに募集要項すら書けません。それで、やっぱり英語フルボイス化は無理だろうなあ、とTwitterでぼやいたところ、いつもお世話になっているvgpersonさんから、ご協力のお申し出を頂きました!ほんまvgpersonさんの優しさは五大陸を駆け抜けるで……。
 そうして、裏で2人でこそこそと打ち合わせを始めました。まず、声優募集に適したサイトはないかとvgpersonさんにお尋ねしたところ、Voice Acting Allianceをご紹介頂きました。アマチュアの声優さん方が活動の紹介をしたり、声優募集などを行えるところだそうです。さっそく登録……しようと思ったら、ユーザーの登録ができない!!なぜか新規登録が凍結中でした。
 それでvgpersonさんと話し合い、応募者数はかなり減るだろうけど、自サイトとTwitterのみで応募を募ろうということになりました。募集期間は2週間と短めに設定。どうせ集まらないから、早めに切り上げて現実を直視した方がいいなと考えたため。
 とりあえずTwitterでは定期で宣伝ツイートを流し、サイトには募集ページを作りました。なんと、告知出したその日のうちから応募があってびっくり。元々交流のあった方々や、全く話したこともない方々から、たくさんご応募を頂きました。交流があった方には声優募集してますよーと言っていたのでまだ分かるのですが、なぜそれ以外の方からもこんなに応募があるんだ?と不思議に思っていました。後で分かったのは、vgpersonさんがご自身のTumblrでも紹介して下さっていたということ。ほんまvgpersonさんの優しさが五臓六腑に染み渡るで。頂いたご応募は総勢47名!嬉しい限りです。
選考について
 応募して下さった皆様は本当にとてもお上手で、選考はかなり苦しかったです。応募が多かったのはキースだったのですが、ものすごく悩みました。後で各声優さんを選んだ理由や実際のところを書こうと思いますが、こちらではなぜああいった結果になったかを説明します。
 まず第一に意識したのは、私がキャラに対して持つイメージに合っているかどうかです。イメージとか言っておきながら、募集要項でキャラの説明をそれぞれ2行くらいしかしていないぐう畜加減。イメージというか、声質ですかね。できれば皆はっきり区別のつく声にしたかったんです。顕著なのは女性陣でしょうか。ヘレナ、シャーリー、ソフィーそれぞれ個性に合った声の方を見つけられたと思っています。さらに自分のイメージに合っていることに固執したのは、作者自身が非常に影響を受けやすい性格でして、イメージにそぐわない方を起用すると、そのシナリオを書く上でキャラの性格まで変えてしまいそうな気がしたから。今になって思えば、良い影響を受けて変わったキャラというのももちろんいますし、それは全然マイナスなことではなかったのですが。とりあえず募集当時は、そんな風に考えていたということですね。
 次に私が意識したのは、どんな風に文章を読まれるか、つまりは演技ですね。キースは冷酷な感じ、デウィッドは正直な感じ、ランスは嫌味ったらしく..といった、こちらもイメージの話になってしまいますが、うまくキャラの雰囲気にあった話し方をされているかを見ていました。例えばキースだと、応募された皆さんは本当にお上手でした。ただ、情感たっぷりに読まれている方が多く、自分が作ろうとしているキース像にそぐわないような気がしたのです。各キャラの声優さんを選んだ理由は後述しますが、本当に演技がお上手な方が多くて、演技面では本当に迷いました。Excelに表を作って、一人ずつ評価を書いて、とやっていたのですが、今思い返してみても本当に選考は大変でした。
 最後の選考基準は、ファイルの音質です。私はバンドでちょこっとエフェクタをいじることはあっても、音響に関しては完全に素人です。しかも加工ソフトはAudacityしかないので……。他の基準はクリアされているのに、音質が悪いため泣く泣く選考から外させていただいた方もかなりいらっしゃいました。このへんは私がもう少し音響に関しての技術があれば良かったという反省点ですね。
 まとめると、声優さんの選考は本当に難しく、そして楽しい時間でもありました。自分が考えたセリフを、他の方に演技してもらうというのは面白いですね!そして分かったのは、自分が「こんな風にキャラに喋ってほしい!」と考えていることは、セリフの文章だけじゃどうしても伝わり切らないということです。当初、脚本を書く時にキャラのセリフに注釈はつけず、声優さんの好きなように読んでもらうつもりでいたのですが、この時に考えを改めました。起用した声優さん方は、本当にうまくキャラの心情を表現して下さいました!
 ちなみに、選考が終わって声優さん方に連絡をとろうとした時にになって、キャラクターの設定資料集を作っていないことに気づき、泣きながら徹夜で作成したのは秘密。だって普段はめんどくて作らないから……設定資料なんて……。

では、次の段からは各キャラと声優さん達について、思うところを書いていきます。
Keith Baring - Neonさん
 まずキースはどういったキャラなのかと言うと、明らかに今までのTCM・TSMと違った作り方・見せ方をしているキャラです。
 作り方からお話しすると、彼は追う側の人間なんです。不思議な存在に追いかけられる側だったデヴィッドやソフィーとは、明らかに違います。これは気づかれる方は少ないかも知れませんが、TBMが何かを仕掛けてきた時、キースが何をすべきかはTBMの後を追いかけるとすぐ分かるようになってるんですよ。ランス救出の際はTBMが逃げ込んだ部屋に入れば仕掛けを壊せる、親子救出の際はTBMが飛び込んだ穴の下を何とかすればよし、シャーリー救出の際はTBMが出てきた部屋に入ると分かる、といった形で。彼にとっては、敵を追いかけることが事件解決・真相究明に繋がると、随所でこっそりと示唆されています。しかし、あのふざけたラストバトルでキース自身言っているのですが、キースは人質すら守りきれれば、別にブギーをどうこうしようとは思ってなかったんですね。彼は警察の人間として人命を守ることが第一だったし、彼自身過去に息子を失い、何もできなかったという自責から、他者を守ることに対して強迫観念を持っている。だからブギーをとっちめることは彼にとって二の次であり、あくまで人質保護にしか努めてないんです。じゃあ実際にブギーを追いつめたら、どうなるか?それはあのアホみたいなラストバトルの通り、簡単に勝てちゃう訳です。
 また「追う」という行動は、単に対ブギーに留まりません。ビデオやボイレコなどのアイテムを手に入れられれば、キースは妻がブギーに追われているシーンを見たり聴いたりすることができます。イメージしてもらいたいんですが、ヘレナを追いかけ回しているブギーを追いかけるという構図は、間接的にヘレナを追いかけることにもなってますよね?キースは、ブギーを挟んでヘレナを追いかけてるんです。この構図こそ、私がTBMで作ろうと思っていたものでした。
 ブギーから逃げてるヘレナを捕まえるにはまずブギーをとっ捕まえればいい話なんですが、彼は刑事という立場から人質保護を第一と考えているため、ブギー捕縛は不可欠ではないと思っている。でも実際は、それは不必要なことじゃなく、自分から逃げようとしている妻に近づくには必要なことだったんです。間にブギーがいると、キースはいつまでたってもヘレナに到達できないですからね。それに彼自身耐えてはいますが、本当は一刻も早くヘレナに会いたいし、彼女の身の安全こそを、第一に思っていたんです。
 TCMでデヴィッドは自分も曲がった男になっていたかも知れないと言っていましたが、キースもある意味ブギーマンになりかけていた人間です。彼自身、自分とブギーマンが「全て嘘」である点で似ていると述べています。嘘で塗り固めて、自分を強者として演出していたところは二人とも同じなんですね。今作では私は「化け物」とか「妖精」のような不思議な存在は出さず、一貫して「怪物のような人間」を表現したつもりでした。ニーチェの有名な言葉、「怪物と戦う者は自分も怪物にならないよう注意しなくてはならない。深淵を覗き込むとき、深淵もまたお前を覗き込むからだ」の通りですね。
 ごちゃごちゃ書きましたが、要するにキースは感情と行動を一致させられない人間だった訳です。焦ってようが怒ってようが、市民に安心を与える立場としてそれを顔には出せないし、妻を一刻も早く捕まえたいのにそれもできない。ラストバトルで、彼はブギーに対してわざわざフルボッコ宣言をします。理由はシンプルで、ブギーが彼の妻の尻を追っかけたクソ野郎だから、というもの。ここで彼は笑っていますが、人質を全て助け、ヘレナの救助を一旦デヴィッドに任せたことで、ようやく好き放題できるようになったからです。「刑事」の仮面を脱ぎ去って、愛する奥さんを取り戻したいと願い行動する普通の男に戻る訳です。彼が回想でトッドに語った「お前やママに手を出す奴は、パパは許さない」は彼の本心を集約しており、トッドに警察だからブギーをやっつけるの?と問われて、「パパだから」と答えたことを、彼は最後の戦いの前に思い出すことができたんです。
 そしてキースというキャラの見せ方についてですが、これは顕著ですね。キースは独り言を言わないんですよ。デヴィッドやソフィーみたいに、「これ何かに使えないかな~(チラッ」とか言いません。つまり、プレイヤーを助けないんです。キースは自分の思ってることを口には出さないため、プレイヤーはキースの考えていることが分からない。何をすべきかも示唆しないから、動かしにくい。中には、キースに対して嫌悪感を抱いたり、イライラする方もいらっしゃったんじゃないかと思うんです。そんなキースとプレイヤーの仲をとりもつ存在としてデヴィッド君が活躍するのですが、それはまた後述します。
 キース役の応募がとても多く選考に悩んだことは前述しましたが、作者が持つキースというキャラのイメージに数ある応募の中で群を抜いて合っていたのがNeonさんでした。
 Neonさんはオーディションのサンプル台詞を少し怒った感じで読んでいらっしゃいました。私としてはキースは本当に感情表現のない男だったので、そのシーンも全く無感情に読んでもらえればと思っていたのですが、ここでのNeonさんの「イラつき」を込めた話し方がすごい良くて、こういう喋り方もすごく良いなあと思ったんですね。正直な話、それまで演技がとてもお上手でも、キースのイメージにしっくりくる人がいないなあと思っていたのですが、Neonさんの演技を聴いてすぐに決めた!となりました。実際にゲームにNeonさんのお声を入れてみるとすごいしっくりくる。予告ムービーにも入れましたが、ディックとの電話のシーンは今でも本当にお気に入りですね。
 Neonさんは感情表現に乏しいキースというキャラの、時折見せる小さな感情の揺れを表現するのが本当にお上手でした。また彼のニヒルで皮肉的な面も、違和感なく演じてくださいました。キースの声優を選ぶのはかなり迷ったのですが、Neonさんの声をゲームに組み込んでいく度に、私のイメージしていたキース像と彼の声がぴったりと合わさっていくのを感じて、本当に彼に参加してもらえてよかった!と実感していました。彼がいなかったらTBMは完成することがなかったなあ、と、今でもしみじみ思います。
 蛇足ですが、ゲーム本編のキースの喋り方と、おまけ部屋のメッセージのギャップが作者的にすごいツボで萌えました。Neonさんのはにかむ声、すごくかわいいですよねゲヘヘ。
Helena Baring - Sereneさん
 ヘレナもキース同様、分かりにくいキャラになっています。プレイヤーはキースと同じ目線でヘレナを見ることになるので、彼が彼女から別れを告げられて動揺し、困惑してしまったがために、プレイヤーも彼女の考えや行動を図ることができなくなってしまう感じですかね。ゲーム終盤までいけば、彼女の行動原理は全て夫を守るためのものであったと分かりますが。だから、当初はヘレナが嫌われちゃうんじゃないかなーと不安に思っていました。彼女が好きという人も多いので、今は安心していますが。
 ヘレナは、自身が臆病で弱い人間であることを理解しています。そして、彼女の夫であるキースは息子を失った自責から、他者を守ることに強迫観念を抱いています。弱い自分が彼の側にいると、余計に彼のプレッシャーを強くしてしまうのではないか?と、ずっと彼女は思い詰めていました。そして、久しぶりの旅行でも全く楽しめていないキースを見て、いよいよ愛する夫の限界を感じ、離婚話を持ち出すこととなりました。これ以上、彼の重荷になりたくないと思ったんですね。
 彼女は自分のことを弱いと言っていますが、実際には弱い人間ではありません。ただ、自分の「弱さ」を理解しているだけです。この点はキースと真逆ですね。彼は自分の弱さに直面できなかった人間ですから。ヘレナは、ブギーが自分を捕まえた後キースを殺しに行くのだと知っていました。(レコーダーの中でブギーが「生かすも殺すも、俺次第だよ」と言っていますね。) だから彼女はブギーから逃げ続けます。ブギーから逃げることだけが、「弱い」彼女が唯一できる、夫を守り通す手段だったからです。彼女は自分の「弱さ」を理解しているからこそ、自分にできるやり方で夫を守ろうとした、そんな強い女性です。何ていうか、女性らしい強さですよね、そういうのって。キースが大木だとすれば、ヘレナは葦なんですよ。強風を受けても動じないのではなく、流されるけれども決して折れないというか。TBMではフリーホラゲでは結構珍しく、メインキャラを夫婦にしたので、そういった男女の強さの違いっていうのを表現してみたかったんですよね。もちろん男女の強さと言っても色々ある訳で、その違いというのはデヴィッド・シャーリーで表現してみたつもりなんですが、それは後述。
 こうやって堅苦しく書くと伝えきれないのですが、作者はヘレナを「不思議な女性」として描いたつもりでした。弱そうに見えて弱くない、他人に優しく感情移入するけれど自分の意志をちゃんと持っている、臆病に見えてブギーにしっかり刃向かえる、というような。男性的な視点からだと、そういった女性(とか女性の強さ)って不思議だと思うんですよね。柔軟性・多面性を持っているというか。多分キースはそういったヘレナの掴みどころのなさが好きなんじゃないでしょうか。彼はかなり理知的ですから、自分に捉えきれない面を持っている女性っていうのは、魅力的に映るんでしょう。何が言いたいのか分からなくなってきましたが、キースは男らしさを以てヘレナを屈服させているのではなく、実はその逆なんですよ。ラストのシーンで彼がヘレナに言った「俺をひざまずかせてくれ」は、そういった関係性を表したつもりでした。こういう2人の関係性は私の趣味丸出しで作ったものですので、語っても語っても語り尽くせないですねえムフフ。
 そして声優のSereneさんについてですが、彼女は色んな面で一番協力して下さった方です。ヘレナの演技については、ものすごく沢山お話しました。ヘレナって後半までほとんど心情描写がないので、その分セリフや声色で彼女の抱いている感情を表現する必要があったんです。だからSereneさんには、ここはこう話してほしい!という点は逐一伝えていました。
 ただ、私は重大な過ちを犯しました。私の中でヘレナの話し方は「奥様は魔女」のニコール・キッドマンだったので、Sereneさんにはそんなイメージで演技してほしい!と申し上げていました。ところが録音・リテイクしてもらったものを聴くと、なぜか彼女はちょっと無理をして甲高い声で演技しているようでした。そこで彼女に確認したところ、ニコールの"イメージ"ではなく、"声"でお願いしたい、という風に伝わっていたことが判明……私の指示(英語でやりとりしてました)がミスっていたのでした。謝りまくって、無理して声を高くせずに演技してもらったものをリテイクして頂きました。本当に申し訳なかったです……。
 評価をさせてもらうと、彼女はヘレナのたおやかさをとても上手に演じて下さいました。これは素直にすごいと思うのですが、泣いている場面でも優しく諭している場面でも声を荒げている場面でも、ヘレナの持つ柔らかさを失わずに演技して下さったんですよね。ヘレナは難しいキャラクターですが、分からないことや気になることがあればすぐ私まで問い合わせてくれて、キャラクターの理解を深め、最後までしっかりと演技してくださいました。Sereneさんのような演技・姿勢ともにしっかりした方に参加してもらえたのは、本当に嬉しいことですね。
 ところで、彼女からは色々と素敵なプレゼントを貰いました!私の誕生日やTBM公開2周年の時などに。彼女だけじゃなく、彼女主導で他の声優さんやファンの方も含めてたくさんの方から貰ったのですが。私は誕生日や記念日に疎くて、自分の誕生日ですら忘れてるくらいなので、とても驚いたと同時に本当に嬉しかったです。
The Boogie Man - Daveosityさん
 今作が今までのシリーズ作品と最も異なっている点は、ヴィランであるブギーがめちゃくちゃ喋るということですね。曲男はほとんど喋らないし、サンドマンは喋ってても何言ってるのか分からなかったですから。TBMをB級映画のようなストーリーで作り上げるのに、どうしても不可欠だったのがこのキャラクターでした。意思疎通ができることを逆手にとって言葉で人を手玉にとる、そんなキャラクターです。ブギーはストーリー構想時からどんな性格・喋り方にするかが作者の中で明確に決まっており、台詞もほとんど考え終わっていました。ちなみにバッドマンのジョーカーのようなイメージでした。ダークナイトじゃなくてね!(これ大事) その分、声優さんもイメージにぴったりくる方を選びたかったのですが、なぜDaveosityさんにお願いしたかは後々。
 ブギーというキャラで印象的なのは、ペイントされた「顔」だと思います。通常はニヤニヤしているのですが、場面場面で怒ったり、悲しそうな顔をしたりします。もちろんペイントだからそんな風に変化するのはありえないことで、ゲームの終盤ではそれがキースにしか見えていなかったこと、他の参加者たちにはおぞましい姿(GOODルートのラストバトルの時の姿ですね)に見えていたことが判明しました。また喋り方や立ち振る舞いも、キースやプレイヤーが見ていたものとは全然違っていたことが、リチャードへの聴取で分かります。では、何でキースの目にはブギーがそんな風に映っていたのか?それはブギーがキースの「敵」だからです。しかも本当の「敵」ではなくて、「偽者」なんです。デヴィッド死亡後の回想シーンで、キースとディックがこんな風に会話しています。「敵が欲しい」「敵なんてそこらじゅうにいる」「あいつら皆、偽者だ。皆して……笑ってやがるんだ」「敵が欲しい。そいつをぶっ殺せば……クソみたいな出来事が全部なくなるような、そんな敵が」その後、キースが今まで手にかけてきた犯罪者たちの姿と、「お前じゃない」という彼の心の声が流れます。そして、死んでいるはずの犯罪者たちの顔がなぜかニヤけています。キースが欲している「敵」というのは、完璧な勧善懲悪における「悪」なんですよ。犯罪者たちを言っている訳ではなくて、具象化ができないようなもっと大きな「悪」という存在です。そいつを倒せば全ての犯罪や悲しい事件がなくなるような、キースにとっての理想の「敵」です。だから、その辺にいるようは犯罪者一人一人は、彼にとっては「偽者」なんです。ニヤニヤと彼を嘲る「偽者」です。存在しえない理想の「敵」を求めるキースに対してディックは、そんな敵はいない、いるとしたらお前の頭の中だけだ、そいつが死ぬのはお前が死ぬ時だけなんだ――と諭す訳です。ではここで、ブギーが登場した時のセリフを振り返ってみましょう。「この世の悪いこと、悲しいことは全部……ブギーマンのしわざ!」「ブギーマンは悪と恐怖の王様さ」ブギーは、まさしく自分こそがキースの求めた理想の「敵」であることを宣言しているんですね。ブギーが自分の本当に「敵」であるという誤った判断をキースがしてしまうのは、BAD1です。キースはブギーに「……俺の妻を……息子を……」「家族を返せ!!」と怒鳴りつけますが、息子が死んだのは事故であってブギーは関係ないはずなんですよ。なのに、それをブギーのせいにして返せと言ってしまった。つまりブギーを理想の「敵」として認めてしまった訳です。ディックが言ったとおり、理想の「敵」を殺すためにしなくちゃいけないことは、自死。それがBAD1という結末になるんですね。では、ゲームを正しく進めてGOODに行くとどう変わるのか?ラストバトル前に、キースはブギーにこんなことを言います。「どうやら俺達は、似た者同士らしい。全部嘘だってところがな」「俺もお前も、演じてるだけだ。お前は誰もが恐れるモンスターじゃないし、俺だって、正義漢じゃない」「お前が俺の敵だと?寝言を抜かすな」キースはここで、ブギーが彼の求めていたような理想の「敵」ではなく「偽者」であることを認識しています。常に冷静な強者であろうとした彼が求めた「敵」など妄執に過ぎなかったのだと、理解できているんですね。ここは、キースが辿り着かなければならなかった重要なポイントだと思います。キースに「偽者」だと見破られたブギーの顔は、ニヤけた「偽者」の顔から変わって、素の状態をさらけ出します。それが、リチャードの語ったおぞましい姿だった訳です。まあ、どんなにおぞましくてもキースにとっては日頃から相手にしているようないち犯罪者に過ぎなかった訳で、ボコボコにしちゃうんですが。ちなみに、ソフィー操作中に出てくるブギーは終始顔が暗くなってて表情が見えないのですが、ここのブギーはリチャードが言っていたような顔になっているんです。あのニヤけ顔は、あくまでキースの目を通して見た場合の姿ですからね。
 数あるブギー役への応募からDaveosityさんを選んだ理由は、彼の人を馬鹿にしたような話し方が私の中のブギーのイメージにぴったりだったからです。怒ってるフリをしている時も悲しそうなフリをしている時も、どこか人を嘲ったような雰囲気をまとっているのが素晴らしいと思い、彼に決めました。実際に収録を始めると、驚くほどブギーにしっくり!ブギーの表情にぴったり合った声・喋りが、ゲームの各シーンに彩りを与えてくれました。こういった雰囲気の出し方も、やはり演技力の一つになるんでしょうね。今では、ボイス無しバージョンをプレイしているとブギーの声が懐かしくて仕方がなくなるほどです(笑) 素晴らしい演技力の彼にブギーを演じてもらえたのは、本当に幸せなことでした。
David Hoover - ROUさん
 TSMでは本来立つはずだったポジションを子守唄に奪われた彼ですが、TBMでは重要な役に躍り出ました。それはキースを導く役というものです。最初に彼が出てくる船上のシーンで、彼は壊れたライターを擦っているキースに火を貸してあげます。これは、暗闇の中にいるキースに対し光を示すという暗喩でした。実際、彼がどんな働きをしたのか書いてみましょう。
 そもそもブギーの被害にあった面々の男性たちは、キースを映す鏡という役割が与えられていました。ランスは若い頃のキース、リチャードは父親だった頃のキースです。例えばランスはブギーに殺されかけてめちゃくちゃビビッていましたが、そんなランスの姿は無感情なキースに、彼自身が新米刑事の頃に死にそうになって味わった「恐怖」を思い出させます。そして娘をこよなく愛し、娘のためなら鬼にでもなるであろうリチャードは、かつてキースも抱いていた「家族への愛情」を持った人間です。そんな感じで、それぞれのキャラはキースが持つ(持っていた)一面を彼に彷彿させるようになっているんですね。ではデヴィッドはどうなのかと言うと、彼は夫としてのキースを映し出す鏡、「妻への愛情」を示す役割を持っています。デヴィッドと言うか、シャーリーも含めた夫婦関係ですね。デヴィッド・ランス・リチャードは昔のキースの姿を彼に示すことで、彼が失っていたものを取り戻すのに大切な役割を持っていましたが、とりわけデヴィッドはかなり重要です。なぜかと言うと、ヘレナから別れを告げられてしまったキースにとって、彼女との関係修復は火急のことでしたから。作中でデヴィッドは何度かヘレナのことを心配し、妻がいないのに平然としているキースを皮肉る姿勢を見せました。キースが他者に見せていない(けど実際は隠し持っている)妻の心配を掘り起こすような真似をします。またデヴィッドは、シャーリーが行方知れずだった時には彼女をひどく心配し、囚われているのを見つければ命を賭して救出に向かいます。さらに彼女と合流できてからは、彼女を信頼して残し、キースと行動を共にします。互いを思いやるが故に信じることができなくなっていたベアリング夫妻とは、全然違っていますよね。キースは平然を装っていましたが、こういった彼の行動全てに、実は揺さぶられていたんでしょう。要するにデヴィッドは、キースが失ってしまった夫としての姿を彼に見せ続けていたことになります。
 加えて、デヴィッドには他の役割もありました。最初に、彼は暗中のキースに光を示す存在であったと書きましたが、「夫としてのキースを映し出す」という役割以外にそれが如実に表れているのは、サトゥルヌスの絵がある部屋での会話、トッドが死んだ時の回想の後の会話、そして3本目のビデオを観た時です。それらのシーンで、デヴィッドはこんなことを言っています。「自分の理想と、本当になりたいものの差が開きすぎていて、矛盾していて……だからあなたは、苦しいんじゃないですか?」「あんたは賢いから、自分のことを騙そうとしてる」「でもあんたは、自分のことを騙しきれてないんだ。本当はずっと、心のどこかで自分を責めてる……」「あなたが、本当に大切なものだけを守ったって……誰も、あなたを責めたりしない」これは、TCMの主人公だったデヴィッドにしか言えないセリフなんです。キースにとっての理想は、何があっても動じない強い男でした。でも実際彼がそうなることを望んでいたのはなく、彼は息子を守れなかった自責からそういう理想を持つようになったんです。言うなれば彼は自分の弱さから目を背け、息子の死を受け入れることができないままにずっと眠っている状態だったんです。ゲーム冒頭でキースは、エリックに「寝てるんですか?」と問われ、「考え事をしてただけだ」と答えます。彼は自分が眠っている(息子の死を引きずっている)状態であることを拒絶して虚勢を張っているから、こんなセリフなんですね。しかし、3本目のビデオ(ブギーとヘレナの会話)を観た後にデヴィッドから「眠ってるのか!?」と、エリックと同じ問いかけをされた時には、キースは「起きたよ」と答えます。ここで彼は自身の弱さを認め、眠っていた状態から目を覚ますことができ、大切な家族に手を出したブギーをブチのめすことを決意した訳です。彼を奮起させたのは、デヴィッドの言葉の力が大きかったと思います。デヴィッドもかつて夢に敗れ自暴自棄になり、母親の殺害や自死の直前まで追い込まれた人間でしたから。(サトゥルヌスの絵がある部屋での会話で分かりますが、キースは彼のそんな過去を知っています。) だからこそ、彼の真摯な言葉が一番強くキースを動かしたんでしょう。TBMにおいてデヴィッドは、挫折から立ち直るという点においてキースの先輩になるんですね。
 オーディションでは色々な人の声を聴きましたが、一番びっくりしたのがROUさんでした。個人的にデヴィッドの声はSilent Hill4のヘンリーをイメージしていて募集要項にもそう書いていたのですが、正直あんな柔らかく落ち着いた声の人が応募してくれるとは思ってませんでした。だからROUさんの声を聴いた時に、あまりにハマり役すぎて本当に驚きました。これは私だけじゃないと思っています。いまだに「デヴィッドの声のイメージにぴったり!」というご感想をよく聞きますから。声がぴったりなだけでなく、ROUさんの演技は本当にお上手でした。彼特有の柔らかさを残しながら、様々な感情を表現して下さったと思います。デヴィッドってROUさんがモデルなんじゃない?と錯覚するくらい(笑)、しっくりくる演技でした。本当にROUさんには、感謝してもしきれないですね!
Sophie Grundler - choco.laitさん
 前作TSMの主人公であるSophieですが、実は彼女がプレイヤーに受け入れられるか、という不安を作者は持っていました。TSMをプレイされた方には分かると思うのですが、彼女の性格が結構変わってるんですよね。前作ではほとんど鬱々とした様子しか描かれていませんでした。まあ、最後に吹っ切れてはいましたが。TBMの彼女は、その吹っ切れた姿の続きなんですよね。我慢しないでハキハキ物を言うし、父親にはかなり甘えています。要するにかなり子どもっぽくなっているんですね。前作のストーリーを乗り越えてこその彼女の姿な訳ですが、TSMでの彼女の姿が好きな方には受け入れられないんじゃないかな?と、そんな不安がありました。というか、今でもあります。
 ソフィーはデヴィッドと同様に、このゲームのエンド分岐に関わる重要な存在です。なぜ彼女の生死がエンド分岐に関わるのかと言うと、前述した通り彼女の父親であるリチャードにはキースの父親だった頃の姿が投影されており、そのためリチャードの娘であるソフィーにはキースにとっての「子ども」の存在が投影されているからです。そのことはソフィーvs犬をクリアした後のシーンで、キースがソフィーに「父親がどれほど心配するかも想像できねえ馬鹿か!?」と叱責し、またそのことによってトッドに語った「どうして言うことを聞けないんだ?」というセリフを想起したことから分かると思います。キースにとってソフィーは、かつて自分が愛し守りきれなかった「子ども」の象徴である訳です。彼にとって「子ども」の存在はとても大きく、だからこそ彼女の安否が彼の行く末を左右するのです。そういう点は、デヴィッドと同じですね。
 ディックからの聴取で、ソフィーはブギーが「ブギーマン」ではなくて「人間」であったことを知っていたと述べます。TSMをプレイされた方は覚えていらっしゃるかも知れませんが、ソフィーは棚に隠れてサンドマンをやり過ごした時に、本物のブギーマンに遭遇しているんです。だから、ブギーが怪物でも何でもないただの人間であると分かっていました。まあ実際のところ、ツアー被害者の中でブギーを「ブギーマン」という怪物だと信じていた人はいないですが。ただ、あの混乱した状況下で「本当に人間なのだろうか?」というような恐怖は多くの者が抱いていたと思います。この場合怪物と言うより、怪人と言ったほうがいいのかも? リチャードはキースの言葉から事件の真相の一部を見抜いていましたが、ソフィーもキースが知り得なかった事件の様相を見ていたことになります。グランドラー親子って、実はすごいのかも知れませんね(笑)
 TBMにおけるソフィーの性格について不安があったことは前述しましたが、声優選びにおいても当初ものすごい不安がありました。ソフィーへの応募は結構あったんですが、結構大人っぽい声の方が多かったんですよね。chocoさんはかなり子どもっぽい声の部類に入っていました。その中でなぜchocoさんにお願いしたのかと言うと、TSMの頃に比べ子どもっぽいというソフィーのイメージに合っていたことに加え、ヘレナ・シャーリーとの声質の違いがはっきりしていたからです。今作の女性陣は本当に個性が分かれていましたからね。それぞれにぴったりあうような、また個々を目立たせられるように全然違った声の方にお願いしたかったんです。選考の時点ではそういった事情からchocoさんを選ばせて頂きましたが、実際にアテレコを開始してからは、彼女の演技力に感動するばかりでした。明るくてかわいらしいティーンエイジャーの姿は保ったまま、喜びや怒り・悲しみを的確に表現していらっしゃり、とても驚かされました。そしてこれはTHMをリリースし終えた今だからこそ言えるのですが、彼女は大学生に成長したソフィーを、TBMの時とは違った様子で演じてくださいました。TBMの頃に比べて喜怒哀楽を少し抑えて演技していらっしゃったので、一部のプレイヤーから「棒読みになってない?」という意見もあったのですが、私は全くそう思いません。子どもっぽいソフィーから、少し大人っぽく成長したソフィーをとても上手に演技して下さったと感じています。
 ところで、ゲームクリア後のおまけがかなり好評でしたね。私はあのシーンでの、キースにからかわれてプンスカするchocoさんの演技がすごく好きです。それ以外のシーンでも常々感じていましたが、やはりあのソフィーを演じられるのはchocoさんだけだったなと、特にあのシーンで実感しました。彼女が参加して下さったことで、各シーンの彩りがより鮮やかになったと、心から感謝しています。
Lance Kanal - Nurvussさん
 ランスは「続編でも出してほしい!」という声がかなり多い、人気のキャラでした。かく言う私も彼はとても気に入っています。彼の性格を簡単に言うなら嫌味っぽい・臆病といったところですが、実は正義感の強いキャラでもあります。スティービーの死を知らされるとキースに「助けてやれなかったのか」と憤り、リチャードが暴れるのを拘束する時にはキースのやり方に反感を示し、制止を振り切ってリチャードに付き添ってやります。Nurvussさんにお渡しした資料には、「元々はカメラマン兼ジャーナリストで、犯罪事件の真実を暴き出すことを掲げていたが、レイプ殺害された少女の事件を追及している際に、その取材方法について人権屋から糾弾され、ジャーナリストを辞めてしまいます。それ以来人間を撮るのが嫌になって、風景専門の旅行雑誌のカメラマンになりました。」と書きましたが、彼は彼なりの正義感をもって真実を追及しようとする人間だった訳です。それなのに非難され廃業に追い込まれるという挫折をしてから、彼は捻くれてしまったんですね。挫折から人生が変わってしまったという点において、キースとランスは似ているんでしょう。それ以外にも皮肉屋という点で似ていますね。彼らは一見仲が悪そうですが、それは同族嫌悪からきているんじゃないでしょうか。
 デヴィッドの段で書いた通り、ランスはキースの若い頃を映す鏡という役割を持っています。ランス救出イベントでは、ランスが感じた恐怖に対し、珍しくキースが共感を示して慰めています。あれは彼が、怯えるランスの姿にかつての自分を見たからなんです。それからランスが最も重要な仕事をしたのは、BAD4ルートのラストバトル前の会話シーンですね。「すべきだとか、クソみてえなこと言ってんじゃねえ!!」「……いいか、俺には分かる。お前は俺達のことを、心底邪魔だと思ってる。別にどうなっても構わねえと思ってる……赤の他人だからな」「そう思ってるのを隠してるから、お前はうさんくせえんだ。なんで隠す必要がある?」「俺らが邪魔なら、そう言え。自分を殺してまで、守ろうとなんてするんじゃねえ!てめえの女を助けたいと思うんなら……そうしろよ」このセリフ、ランスにしてはものすごい真っすぐで熱いんですよね。普段であれば皮肉で隠すような本音を、キースに叩きつけています。キースは絶対にランス達のことを「邪魔」だなんて言いませんが、ヘレナを早く助けたいと願っているあの状況下では実際「邪魔」だった訳で、ランスはそれを言い当てて、尚且つそれでいいと言います。それまではただキースを冷たく、人を支配するような人間だと認識していたのですが、彼から真相を聞いて考えを改めたからですね。ランスもジャーナリストをやっていた人間ですから、人を見る目はあります。キースが本当は妻を大事に想っている、一刻も早く助けたいと本心では願っていることを見通したから、少し乱暴だけども真摯な言葉でキースを激励したんです。くり返し書いていますがランスはキースの若い頃を投影されたキャラですので、このシーンはいかにもキースが若い頃の自分自身に励まされているような構図になる訳です。挫折や辛い経験からねじ曲がってしまった彼を、昔のまっすぐな彼自身が矯正したというような感じですね。このゲームにおいてランスは、そういった主人公を強く励ますような役割が付与されていたことになります。
 正直、オーディションではNurvussさんのサンプルを聴いて彼に即決しました(笑) 皮肉っぽい喋り方が本当にお上手なんですよね。クリア後ボーナスのメッセージを聴いた方は驚いたと思うのですが、演技していない時のNurvussさんの喋りってランスとは全然違うんですよ。どれだけ彼がランスというキャラクターを理解し、うまく表現できていたかが分かると思います。加えて、これは私にしか関係ない話ですが、彼のくれるボイスの音質が本当にすごくきれいで大助かりでした。声・演技・音質等色んな面において、非の打ち所のない方ですね。ついでに、リリース後にインタビューもして下さり、楽しくお話しすることができてとても嬉しかったです。
Shirley Webber - Adoxさん
 キースに夫としての彼自身を映し出す鏡としてデヴィッドは重要だったと前述しましたが、シャーリーも少し似た役割になっています。と言うより、デヴィッド・シャーリーの2人が、夫婦関係の在り方をキースに示したと言った方が良いかも知れません。
 まずシャーリーがどういう女性なのか一言で言うと、強い女性です。さっきまでブギーに囚われて殺されかけていた自分のことを「間抜け」なんて言っちゃうし、キースのサポートをするという夫を斧を肩にかついで見送ります。一見弱い人間に見えるヘレナとは対照的で、またそれぞれの夫を含めた夫婦関係も対照になっています。ベアリング夫妻が互いが受けるであろう傷を向かい合ってかばうようなスタイルなのに対し、デヴィッド・シャーリーは互いの背を預けて戦うようなスタイルです。デヴィッド・シャーリーのこのような関係性に最も重要なのって、「相手への信頼」ですよね。お互いのことを信頼し合っているから背中合わせになれるし、相手の弱いところもカバーできるんです。相手を守ろうとするあまりに信頼を失ってしまったベアリング夫妻に、彼らの関係性は「相手への信頼」を強く示したのでしょう。
 個人的に彼女の印象的なシーンをあげると、Bad4のラストです。事件の最中でもずっと気丈だったシャーリーが、暗い顔を見せてあることを語ります。それは過去に一度デヴィッドに別れを告げた時の心情です。このへんはTHMへ繋がる部分でもあるのですが、シャーリーはデヴィッドの母親と仲が良く、彼女から夫と離婚した時の悲しさを聞いていました。そのため、元々捨て子であったという事情も加え、彼女は誰かと家族になることに関して強い不安を抱いていたのです。声優さんへの資料には、「彼女は実はコインロッカー・ベイビーで、家族というものに不信感を抱いていました。身寄りがなく何でも一人でやらないと生きてこられなかったので、誰かと家族になるとか、誰かに頼るとか、そういうことに関して臆病になっていました。周囲は彼女のことを一人で何でもできる強い女だと思っていますが、実際彼女は、誰かと深く関わって生きるのを怖がっていただけなのです。そんな彼女は、優しいデヴィッドといることが辛くなって一度逃げ出したのですが、結局は彼の元に戻ってきます。その時彼女は、これからは彼に守ってもらうだけでなく、自分も彼を守って生きていこうという誓いをしたのです。」と書きましたが、その通りです。先ほどシャーリーは強い女だと書きましたが、こういう弱い部分もあるんですね。その弱さを自覚しているからこそ、「彼に守ってもらうだけでなく、自分も彼を守って生きていこう」と決意したのですが。そう言った点を含めて総括するなら、やはり彼女は自立した強い女性ということになるんだと思います。
 普段は気丈でも、たま~に弱い部分を見せる。そんなシャーリーをAdoxさんは見事に演じてくれました。オーディションでは彼女の声をハキハキした喋り方・演技がまさにシャーリーにぴったり!と感じて選ばせて頂いたのですが、↑のような彼女の弱い面が出るシーン(デヴィッド死亡ルートの会話もそうですね)だと演技をガラッと変えて、シャーリーの持つ悲しみや不安をとてもうまく出してくれました。クリア後のメッセージで、Adoxさんは今まで声優の経験があったものの、ほとんどが少年の役だったというのを聞いてびっくりしました。TBMでは強さ・弱さを合わせ持つ大人の女性を、しっかり演じて下さいましたからね。てっきり、慣れてるんだと思ってました。個人的な願いなんですが、TBMを踏み台にして今度もそんな女性役の演技に挑戦してもらいたいなあと感じています。
Richard Grundler - Winterさん
 オーディションを始める前に一番心配していたのが、リチャードに応募があるかな……?ということでした。何せ年齢は45歳で、募集要項には「娘を溺愛する気弱なおじさん」と書いていましたからね。フリーゲームの声優に、果たしてそんな役ができるような人が応募してきてくれるのだろうかと、半ば諦めた思いでいました。だから、Winterさんのお声・演技を聴いた時は本当にビックリしました。あまりにもハマり役すぎて!正直、彼のサンプルを聴いて一瞬で採用しました(笑)
 リチャードはどういう人物なのか、TSMをプレイした人にとっては少し分かるかも知れませんが、真面目でちょっと娘に対して弱い人です。TSMの終盤までは、彼は娘を気にかけず仕事に没頭しているような、少し冷たい印象が与えられていたかと思いますが、ラストでは秘めていた本心を吐露し、娘に今までの放置を謝って「許してくれるかい?」なんて言ってしまいます。そういうちょっとかわいらしい一面を見せたところでTSMは終わったので、TBMで改めて彼の人格を掘り下げることができたのはとても楽しかったです。実際彼は気弱ですが、バリバリ金融関係の仕事をしていることもあって、聡い一面もあります。最年長ですし、人や物を見通す力には長けているんでしょうね。だからこそ、彼は自分なりの視線で冷静に事件を見ており、それはゲームのラストで明かされることとなります。
 前述したように、リチャードはキースの持っていた父親としての姿を映し出す鏡になっています。娘を心配して動揺し涙する彼を見て、キースはかつての自分を思い起こします。ソフィー捜索前にリチャードに追いすがられた時、無感情であるはずのキースが明らかに嫌悪の表情を浮かべていましたよね?でもって、リチャードを思わず突き放した後、我に返って謝っています。あれは、キースがゲイが嫌いだからだろうと一部で言われていましたが、もちろん違います。あの時、リチャードの姿と「子どもを自分の力で守ることができない父親」という過去の自分が重なってしまったから、キースは無意識の内に彼を突き飛ばしたんです。また、ソフィー死亡ルートに行くと、ブギーを殺してやると暴れるリチャードを拘束する際、キースは珍しく辛そうな表情をして彼に謝ります。キースは子どもを失う辛さを知っていて、だからこそそれをリチャードに味わわせてしまったことに強い罪悪感を抱いた訳です。キースの中で、父親としてのかつての自分は一番攻められたくない弱点なんでしょう。そういった意味では、キースを一番揺さぶったのはリチャードかも知れませんね。
 Winterさんには優しそうに話すこと、しかしソフィーの危機には過剰なくらい取り乱した演技をしてほしいと伝えていました。そしてそれは、見事に達成されていました。何か、私がわざわざ指示しなくても良かったんじゃないかな?というくらい、リチャードの感情を理解・表現されていたと思います。あと、実はキースの回想に出てくる医者も演じてもらったんですが、リチャードとは全っ然違う話し方なんですよね。録音を聴いて、演技の幅にビックリしました。リチャードにぴったりの声と言うだけでなく、演技面でも色々驚かされたのがWinterさんだったと思います。彼に参加してもらえて、本当に幸せでしたね。
Brendon Dumont - Tobbyさん
 実はブランドンは、ゲームをプレイ済みの方に対しても説明したくないキャラです。もちろん彼の思惑などの設定は細かく考えてはいるのですが、それは製作者である私のみが知っていればいいことで、プレイヤーにはお話ししたくないんですよね。彼は「怪物のような人間」であって、それをコレコレこういう事情があるから悪役の彼はこうしたんだよ~って説明するのって、何か興ざめするじゃないですか。というかぶっちゃけると、彼には口で説明できるような「動機」がないんですよ。「動機」がないのにあんなことをしでかすから、「怪物のような人間」なんです。というよく分からない作者の事情があるため、彼のキャラ考察は書きません。書きませんが、声優さんにお渡しした設定資料から、彼の過去についてのみ抜粋します。
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 彼は古城の所有者の家族に生まれ、古臭い場所で暮らすのが嫌になりハリウッドの映画学校に入りました。そこで特殊メイクや技術を学び、小さい映画会社で働きますが、誰からも注目されない裏方の人生に嫌気が差し、また生まれもった残酷な性分によって、殺人ゲームを開催し、映画に出てくるような悪役、恐怖の存在として世間に自分を知らしめてやろうと考えました。そこで彼は学校を卒業して古城である我が家に戻り、両親を殺害し、莫大な遺産を得ます。(作中で彼の両親は交通事故で亡くなったと出ますが、実際は彼による殺害です) その後、古城を観光地として開発すると旅行会社にツアー企画を持ちかけ、参加者を募ります。参加者が決定したところで彼らの素性を興信所などを使い、調べ上げます。
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 ↑にある「人生の倦怠感」は、自分で書いておいて何なんですが根本的な「動機」にはなり得ないと思います。このあたりは本当に説明が難しかったので、「生まれもった残酷な性分」という書き方をしましたが、一言で言うならこの言葉に集約されてしまうんです。つまり彼が事件を起こしたのは、「彼がそういう人間だったから」だと。話は飛びますが、私の好きな漫画にSOILというものがあります。その漫画の、事件を起こした犯人に刑事が尋問を行うシーンで、犯人が動機について「この恍惚に正体などない」「求めても求めても答えなど得られない」「何故ならこの謎は解き明かされるべくして在るものではないから」と答えるんですね。私は、ブランドンの動機に対して同じ回答をしたいんです。どうして犯人はこんなことをしたのか?という問いをすれば、彼の出生・環境・思想などありとあらゆる所に疑問が広がっていって、次から次へと謎が出てきますからね。
 ブランドンは前述のような不可解なキャラクターですが、彼が表に見せている人格は「明るく、真面目そうな青年」のものです。Tobbyさんにもそう伝え、常にニコニコしていて朗らかな感じで話してもらうようお願いしていました。実際、Tobbyさんは明るい青年のブランドンをすごく上手に演じてくださいました。実は、一行が城に入る前のブランドンと使用人たちの会話は後から付け足したものだったんですが、違和感なく、本当に親しい人たちと会話しているように演技をして下さって、すごいなあと思いました。また、演技に関して意欲・探求心が強く、自身の演技をより良いものにしようと尽力して下さった方だなあと感じています。今聴いても思うのですが、彼が表現したブランドンの明るさというのが底抜けで、プレイ中は「そういうキャラなんだな」と納得できるのだけど、プレイ後に見返すと「わざとらしいな」と思えるような、そんな不思議な演技だったと思います。そういう二面性を出すのって難しいことだと思うのですが、Tobbyさんは見事にやってのけました。本当にすばらしいと思います。
Dick Anderson - Manlyさん
 オーディションの際、私は応募者が既知だろうが関係なく選考することを公言していました。とにかくキャラに合うことを最優先に声優さんを選びたかったので。ですが、実はManlyさんは唯一既知の方で、声優をやって頂いた方でした。既知と言っても交流があった訳ではなく、単に私が知っていたというだけの話ですが。前に、英語圏のある方から人魚沼をこの実況で観た!面白かったよーというご感想を頂き、日本の人魚って外国でのイメージとは明らかに違うし、海外の方はどんな反応を示されるのだろう?と、単純に好奇心から紹介していただいた動画を拝見したのですが、それがManlyさんプレイ動画だったんです。Manlyさんは動画の中で、日本の人魚についての解説をされていました。それを聞いて、ものすごく丁寧に話し、解説して下さる方だなあという印象を持ったんです。そしてオーディションでManlyさんのサンプルを聞いた時に、とても大人っぽい落ち着いた声音で、相手を茶化す時と諭すと時をうまく使い分けて演技される方だなと認識しました。
 Manlyさんにお渡ししたディックの設定には、「TCMで言えばディックはポールのポジションですが、ポールほど友人に対して助けてやろうと迫ってはきません。彼はキースのことをよく理解しており、キースが実は負けず嫌いで余計な世話を焼かれるのを嫌がるのを知っているため、彼を見守ってやるだけにしているのです。またディックはヘレナとも仲がよく、彼らがうまくやっているのかいつも心配しています。ベアリング夫妻の状態を一番理解しているのが、彼ということになります。」と書きました。ディックは、キースやヘレナの良き理解者なんですね。だからこそ、彼は落ち着いて相手を諭すような、そういう喋り方のできる人を選びたかったんです。Manlyさんはそういう点と、彼の持つひょうきんでおちゃらけた点を、見事にクリアしていらっしゃった方という訳でした。
 また、ディックは「主人公の理解者」以外にも、とても重要な役割を担っています。それは、プレイヤーへの解説です。プレイヤーは終盤まで主人公であるキースと同じ目線でしかストーリーを追えません。つまり、事件の真相を第三者の目で見ることができないんです。しかしゲームの最後で、ディックは刑事の立場から被害者への尋問を行い、事件の概要を読み解いていきます。そこで初めてプレイヤーは今までの事件がどんな様相だったのかを、その真相も含めて知るんですね。また、ディックが解き明かすのは事件にとどまらず、ヘレナの内心にも及びます。彼はヘレナの本心を聞き出し、また彼女が知ることができなかったキースの内心を、彼と同じ「刑事」「父親」「夫」の立場から示唆するのです。プレイヤーはここで、ヘレナの内心(そもそも何でキースと別れようとしたのか?)を初めて理解します。こういった、プレイヤーへの解説もしくはゲームの総括は、ぜひとも落ち着いて丁寧に話せる方にやってほしかったんです。これら2点から、Manlyさんはまさに適役と見なし採用させて頂きました。
 こんな感じで、ディックはそこまで出番は多くないのですが、かなり重要なキャラクターでした。そんなキャラを、Manlyさんのよう喋りに慣れた方に演じてもらえたのは、本当に幸運でしたね。非の打ち所のない演技以外にも、録音の音質がものっすごい良くて、私は音量やセリフ間の空白の調整しかすることがありませんでした(笑) 色々な面で助けてくれてありがとう!というのが、Manlyさんに対する作者の思いです。
Eric Simpson - cyanrollさん
 エリックはお調子者・生意気・面倒くさがりという、部下にしたくない要素がみっちり詰まった人物です。彼は元々別の課の刑事でしたが、あまりに失礼な振る舞いをするので、お灸を据えるために署内でも「恐い」と有名なディック・キースの元に送られてきたという過去があります(笑) でもキースに対してはすっかり順応しちゃって、お仕置きにはなってないようです。彼はキースに対し不遜な態度をとりますが、キースはそのことを諫めたりしません。キースは実力主義者だから、上下関係に拘りがないんでしょう。また、キースが特に文句も言わずにエリックと組んでいるところを見ると、実はエリックの実力を見込んでいて教育してやろうという気になっているのかも知れませんね。まあ、エリックはTHMで1つやらかすんですが……それは置いておいて。
 ところで、彼はかつてデヴィッドが母親を殺しかけて拘留された際に、聴取を行った刑事でした。その頃エリックには病気の祖母がいたので、デヴィッドに対し同情的で、早く放免されるように祈っていました。だからTBMで再会を果たした時には驚いたと同時に、今は何とか元気でやってることを確認できて、嬉しく感じたと思います。実は、本当はエリックとデヴィッドの会話シーンを入れる予定だったんですよ。でもあまりに尺がなさすぎたので、カットしました。
 cyanrollさんは、エリックの生意気な感じを演じるのがとてもお上手でした。一番最初のシーンも、キースとの電話のシーンも、彼の演技のおかげでちょっとコメディックに仕上げられたと思っています。元々エリックがいなかったらこれらのシーンはひたすら重苦しいものになってしまうのですが、彼の存在とcyanrollさんの演技がうまく合わさって、臨場感のある場面にできたと実感しています。TBMにおけるコメディ部分担当として、本当にいい仕事をして下さいましたね。
 ところで、cyanrollさんはイラストがとてもお上手です。TBMが完成した後、かわいいイラストをプレゼントして頂きました!素敵ですよね。声優として参加して下さっただけでなく、こんなプレゼントも頂けて幸せです。
Stevie Small - Jesseさん
 スティービーは割と早いうちに殺されてしまい、あまり出番がないキャラではありますが、実はストーリー展開において大切な役割を担っています。船に乗り込むのにまずコンタクトをとるのが彼ですし、城ではこれから食事があることを示してくれます。何より重要なのは、ブギーによる殺人劇の「チュートリアル」として、彼が殺害されたことです。早くブギーを捕まえないと他のツアー参加者たちも彼のようになるとキースに示したのが、スティービーという存在な訳です。そういった感じで、彼はこれから何かがあるという、場面転換のシーンで活きたキャラでした。彼はツアーのガイドでしたが、物語においてもガイド的な役割を持っていたのかも知れませんね。
 スティービーは33歳でランスと同年代です。だから、食事後にはランスと親しく会話しているのが見られます。そのため彼が殺されたと聞かされた時、ランスはすごく動揺していました。彼の性格は作中でしっかりと描かれてはいませんが、作者の中ではテキパキした、仕事ができる人間というイメージになっています。彼がキースに食事について聞くシーンがありますが、本来あういう質問って城の使用人がすると思うんですよ。料理作るのは使用人(シェフ)ですしね。ではなぜスティービーが聞いているのかと言うと、あくまで今回のツアーが城を観光地として開発する前の「お試し」のものであり、城の人間が宿泊者に対する対応が不慣れであろうと理解していたから、質問役を買って出てるんです。自分のすべきことをきっちり見極めて、テキパキ動けるのがスティービーという人間な訳です。
 上記のようなスティービー像が作者の中にあったので、声優さんはハキハキ喋れる人がいいなと思っていました。Jesseさんはとても落ち着いた声で淀みなく話される方という印象をオーディションで持ち、実際スティービーを演じてもらうと、彼のイメージにとてもしっくりきました。普段のスラスラ話される所もいいんですけど、キースに妻のことを面白おかしく話すところも、ちょっと彼の素が出た感じですごく良いなあと思っています。私は作中でスティービーの人格を強く出さなかったけれど、Jesseさんのおかげで彼に人間味が加わった気がしていますね。少ない出番でしたが、彼にご協力頂けてとても助かりました。
Tod Baring - Jiyeonさん
 トッドの存在は、かつて父親だった頃のキースを描き出すための重要な役割を担っていました。トッドとの回想に入るまで、キースは本当に冷たくて無感情で完璧主義な人間としてしか、プレイヤーに認識されていなかったはずです。しかしトッドとの思い出の中の彼は、息子の前で「悪い言葉」を思わず使ってしまい、それを息子に真似られてタジタジ……という、微笑ましい父親の姿をしていました。また、警察の義務によってブギーを倒すのではなく、「お前やママに手を出す奴は、パパは許さない」からブギーをやっつけなくてはならないんだということを思い出させたのも、トッドとの会話でしたね。
 正直な話、トッドというキャラの声には拘りがありませんでした。幼児キャラである時点で他と大差があるので、拘りを持つ必要がなかったというか。それでも、複数あったトッドの声優への応募の中でJiyeonさんは選んだのは、しょんぼりした様子と楽しそうにはしゃぐ様子を区別して演技するのが、すごく上手だったからです。選考の時点ではそういった理由でJiyeonさんを選んだのですが、実際にアテレコをしてもらって、「誰からそんな悪い言葉を聞いた?」「パパ」のやりとりを聞いた時に、彼女のちょっと白けた感じの話し方がツボりました(笑) また、ラストバトル前の回想シーンで、怖がった様子・慌てた様子の演技も拝見しましたが、驚くほどトッドにぴったり合っていました。作者内で少し曖昧だったトッドのイメージがかっちり決まったのは、彼女の演技のおかげかも知れません。色んな話し方を使い分けてトッドというキャラを演じて下さったことに、心から感謝しています。今でも、トッドを彼女にやってもらえて良かったとすごく思っていますね。
最後に
 めちゃくちゃ長くて申し訳ございません……それでもって、TBMリリースからこのおまけ公開まで長らくお待たせしてしまって、申し訳ございません。超長文・雑文になるのが分かっていたから、中々筆が進まなかったんですよね。
 あと、最後に声を大にして声優さんたちに謝りたいことが。それは、作者の脚本執筆がクッソ遅かったということです。ゲーム製作開始→オーディション&声優決定→ゲームを作りつつ脚本執筆、という流れだったので、製作が滞ると脚本の続きが書けなかったんです。おかげでゲームを製作している間声優さんもずっと付き合わせることになってしまって……それぞれお忙しい中ご協力くださって、本当に感謝しています。ここまで大きく誰かの協力をあおいで製作をするのは初めてだったのですが、挫けそうになった時にはいつも声優さんたちの存在に励まされていたと思います。
 TBMの製作は大変だったことと楽しかったことが半々くらいでした。作っている間は辛いことも多かったですが、リリースしてからはファンだと言ってくれる方々にもとても救われています。今まで一人でこそこそ製作をしていた身としては、かなり持ち上げられて挙動不審になっている部分もありますが(笑)、まあありがたいことですね。個人的には、TBMで燃え尽きずにTHMまでリリースできたことが一番良かったことかなと思っています。
 それでは、長くなりましたがこのへんで!ここでは私の思うところのみタラタラ書きましたが、これだけ長く書いてもまだまだ明かされていない謎はあると思います。そのへんは、皆さんでお好きに考察して頂ければ嬉しいです。ではでは(・ω・)ノシ

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